でも海 | いわゆる認識の相対性

でも海

この青い海は
昨日の海のように見える
ひと月まえの、一年前の海に


けれども海の水は
地球上を廻っている水で
私の足を濡らすこの波は
あなたが一昨日飲んだビールや
一週間前私が流した涙が含まれているかも
昨日のリンゴだった水分や
一年後に私の頬を掠める雪かも


いま私が立っている海は
誰にとっても初めての波
そして一度限りの水


でもそれが私の目には
なぜひとつの海なのだろう

昨日も明日も
永遠に変わることのないかのように
こんなにも青く澄んで



まどみちおさんの「空」という詩が、あまりにも私の今の気持ちにぴったりだったのでオマージュ